幸せのなる木

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祈ると、幸せになれるという木がある。幸せになる為に、守らなければならないルールは一つ。

幸せになったあと、必ずお礼を言いに来ること。

一人の女性が、幸せのなる木にお礼を言いに来た。
この木に祈ったあと、恋人の起業が大成功し、世界でもトップに入る程の社長夫人になったのだ。
あの頃とは打って変わって、派手な服と豪華なアクセサリーを身に付けた女性は木に感謝の気持ちを込めて祈る。
数秒の祈りのあと、さあ帰ろうと足を動かそうとした時だ。

ガシッ

何かが足に絡み付いて動けない。女性は恐怖の悲鳴をあげた。それは、根だったのだ。
根は、凄まじい力で女性を土の中へと引きずり込んでいく。助けを求めるが、女性の姿はあっという間に土の中へ消えてしまった。

幸せを求める人は、絶えることなく。
その度、養分もまた増えていくのだ。
その他
公開:21/04/03 12:10

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