龍と住む

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このまちは龍が守っている。竜ではなく龍だ。
青磁器のようなウロコを持ち、羽もないのに空でとぐろを巻いている。この聖なる龍が、外敵を寄せ付けない
もちろん無償ではない。龍への生贄として、毎日、1体の人間が捧げられる。しかも老人ではだめなのだ。若くて活きのいい人間でなければ受け入れられない。
だが、この龍のおかげで平和が守られるいると思うと、生贄を止めようという指導者はだれもいなかった。
家族にぽっかりと空いた穴は、市長や地域の人々から送られる勲章やら賛辞やらで強制的に埋めさせれれる。
ぼくはふっと思う。
このまちは高い城壁に囲まれているが、この壁の向こう側にはなにがあるのだろうか。
明日、龍に食われるまえに知りたいものだ。
そう願うが、もちろんだれも答えてくれない。
SF
公開:21/04/03 07:31

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