左の思い出

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「左利きの人ってカッコいいよね」
クラス一の美少女が言って、俺は躍起になった。箸やペンを左で持ったり、時計を右手にしてみたり。
簡単に利き手が変わるはずもなく、彼女とは卒業してそれっきり。
だが社会人になった今でも、腕時計だけは右の手首にある。甘酸っぱい青春の思い出だ。
ある日起こった殺人事件。関係者を集めて探偵が言った。
「犯人は左利きの人間です」
全員が、一斉に俺を見た。
青春
公開:21/04/02 22:21

にしおかゆずる

自分のペースででゆるゆると。
昔書いたtwitter小説を転載したりもしています。
 

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