くもの糸

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雲の上から一本の白い糸が垂れてきた。白い糸は雲を編んで出来た紐であり、暫くするとその糸を伝わり
雲の神様らしきお方が降りてきた。
頭髪は白髪で顔中真っ白な髭で覆われ、白い着物を纏ってその姿は遠くからも輝き、正に真白き富士の山の如くだ。

近づきどなた様ですかと尋ねると、近ごろ下界は何かと騒がしく揉め事や病も多い様だし、状況の把握をしその解決に当たらなければならぬと、天界での御前会議で決まったのだ。
儂がその先発として調査に参いったのだが、ここで会ったも何かの縁、お主説明してくれぬか。

そう言われても私は学者でもなく詳しくは分からないですが、それなりにお教えしましょう。
成程なるほど概略は承知した、ありがとう。急ぎ報告せねばならず、取り敢えず儂は天界へ戻るとしよう。

しまった雲の糸を放してしまっていた。帰れないぞと途方に暮れていると、空からお釈迦様が遣わした本物の蜘蛛の糸が降りてきた。
ファンタジー
公開:21/03/30 10:03

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