インスタント・タイムマシン

インスタント・タイムマシンが発売されると飛ぶように売れた。
お湯をかけて3分待つと3分後に行ける手軽さが特徴だ。
それじゃ当り前だ。詐欺だろうと言うなかれ。
20個同時にお湯を入れると３分後には１時間後に行けるのだ。
そして麺が伸びる頃には１時間前に戻れる。

公営ギャンブルなど博打系ファンには危険なほどの人気だった。
メーカーは極秘裏に生産を進め、30億個を各地の物流拠点に保管した後で発表した。日本中が大変な騒ぎになった。
一人20個限定で販売した。計算尽くで行ったので騒ぎは小さかった。

さて予想外に困ったことが起きた。
一時的に日本の人口が２億人を突破したのだ。短時間だが爆発的に人が増えてしまった。
このため災害級の事態が都市部で発生した。
自分が二人いる日本人が１億人いるのだ。その驚きもあって大混乱に陥った。

そして混乱はさっと引いていった。
あとにはのびた麺が30億個分残った。