冷涼な植物

旧友のＢに会ってきた。二十数年間の途切れがちな年賀状。賀状の住所に記された緑豊かな＊＊市に、仕事の出張時に立ち寄った。
＊＊駅からタクシーで三十分、さらに林道を三十分余り歩く。ログハウス風の小屋にＢはいた。ずっと独り身だ。驚いたのはＢの若々しい容貌。二十代の様子だ。リビングでハーブティを飲みながら懐かしく話をした。窓際にいくつも鉢植え植物がある。ぷっくりとした葉肉の多肉植物ばかり。一メートルを越すものもある。Ｂの説明では多肉植物は蒸散を防ぐため昼は気孔を閉じて夜に開く。そしてＢがつけた孔がある。孔にチューブを挿して隣の植物とつなぐと養分を交流させて丈夫になると言う。まるで互いの植物が協力しあうように。孔は夜につなぐ。鉢の周りにはチューブがうねうねと見える。
二時間ほどで小屋を出た。林道を下りながら考えた。Ｂの肘にチューブの差し込み口のようなものが付いていた。そして長いチューブが一本。