告白

彼とは一度も会った事がない。それでもZoomで何度かやり取りをしているとだんだん好きになり、付き合う事になった。
付き合い始めてもこのご時世だ。会う事は難しく、それでもZoomで愛を育み続け、ついには結婚を決意した。
だが彼の反応は微妙だ。結婚、嫌なの？
彼はそれを否定し、重い口を開く。
『実は俺…幽霊なんだ』
嘘を吐くならもっとマシなものを…と思ったけど彼は真剣だった。
『俺、ずっと一人ぼっちで寂しかったんだ。君が彼女になってくれて、プロポーズまでしてくれて…幸せ過ぎて思い残す事がなくなったんだ…俺、満足したんだ』
彼が光に包まれる。
『結婚は出来ないけど、俺は君をずっと愛しているよ』
そう言い残し彼は成仏してしまった…

数年後。私は結婚し、幸せな家庭を築いていた。
可愛い長男は私に「愛している！」ってよく言ってくれる。
そんな長男の瞳にZoomすると幽霊だった彼の姿が見えた気がした。