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博士は傘をさすのが苦手だった。雨の日にはどう傘をさしても、なぜかひどく濡れてしまうのだった。

そこで彼は、新しいタイプの傘を発明した。この傘は薬のかたちをしていて、飲むことで効果を発揮する。晴れの日は何も起こらないが、雨が降り出すと、水分に反応して雲のようなものが発生する。この雲が雨をはじく仕組みだ。従来の傘より広い範囲で雨を防ぐことができる。博士は雨の日の度に効き目を確認した。以前よりは濡れなくなったが、雲の隙間からどうしても雨が入り込んできた。短時間で効果が切れてしまい、結局従来の傘が必要になることも多かった。より固いガードとより長い効き目を求め、博士の研究は続いた。

ある日博士から助手へ電話が入った。
「ついに傘の効き目を最強且つ永続的にすることに成功した。だがそのせいで、水を飲めなくなってしまった。飲もうとすると、雲が一滴残さず防いでしまう。喉が乾いて仕方がない。助けてくれ…」
ファンタジー
公開:21/03/28 23:04

ばお( 日本 )

ばおといいます!よろしくお願いします。

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