14歳の家出

0
1

 14歳の夏、僕は訳も無く家出した事がある。
 何かから逃げ出したかった訳ではない。ただ朝起きて何気無く自転車に乗って、行き先も決めずにこぎ出したのだ。
 途中、お腹が空くと雑貨屋でクリームパンを買って胃に詰め込んだ。時々公園の水飲み場で喉の渇きを癒した。
 それ以外は暗くなって周りが見えなくなるまでひたすら自転車をこぎ続けた。
 一旦止まると急に疲労が身体を襲って来た。そこで、近くに有ったバス停まで戻り、そこのベンチに突っ伏して眠りについた。
 翌朝目を覚ますと、無意識に「うちに帰ろう」と言う言葉が出た。それからゆっくりと自宅に向かってこぎ始めた。
 帰宅した頃はもう日が変わっていた。
 家に入ると、母が勢いよく玄関に出て来て、僕の顔を見るなり、僕の頰をパシンと平手で叩いた。そして強く抱きしめて、泣きながら何かを言っていた
 大きな声だったが、何を言っているかはよく聞き取れなかった。
青春
公開:21/03/28 17:12
家出 若気の至り 自転車

Azuki Smith( 横浜 )

写真撮影が趣味で、英国文学をはじめとした外国文学が好きな会社員
旅が好きでヨーロッパとアジアを中心に多く国を旅している
また、イギリスに住んでいたこともあり、英国文学に多くの影響を受けている
喋れる言語は日本語 (ネイティブ) > 英語 (アカデミック) >>...>> ドイツ語 (何とか旅が出来るレベル)

投稿内容はその他(主に紀行文)、青春、ホラー、ごく稀に恋愛(でも悲しい物語)

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容