グループワーク

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早朝に三人の女兵士を連れて山を登りはじめた。彼女らを先にして山道を歩く。見上げると青空に青い三本のスカーフが揺れる。道の両側の茂みに小動物の交尾が騒がしい季節だ。登って振り返ると谷の底に渓流が細く光って、爆音がときどき遠くで響いた。
第一日の課題は僕と女兵士で小さな山小屋に向かう。小屋に着くと僕と彼女らを結ぶリボンを外して、テーブルの上の金属トレイに採取して来たものを展げる。オコジョの毛と糞、雷鳥の羽毛、ミヤマリンドウとオニユリの花弁と根。それにこの小屋の古い柱を削りとった木片。
それらを抽出器に入れて雪渓で汲んできた冷水を注ぐ。がたつくテーブルの上で抽出する。ごく少量だが抽出された液体は大切な試薬となる。三人分は必要だ。
日が暮れてきた。山小屋の小さな窓ガラスに夕陽が反射した。僕の担当はここまで。第二日は別の課題が女兵士らに与えられる。どんな課題で誰が引率するのか、僕は知らないが。
その他
公開:21/03/27 11:26

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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