ノルマンディーの奇跡

俺は落下傘部隊の兵士だ。
飛行機から飛び降りれば、そこはもう敵地。
落下しながらパラシュートを開く。
木に引っかかったり、川に落ちたりしないことを祈った。
こんな真夜中の作戦では、パイロットも目的地を見失いやすいのだ。
ふぅ、なんとか着地に成功。
どこの草地だろう？
早く味方と合流しなければ。
俺は地図を開いて、周囲と照らし合わせる。
おかしい。
ここは居住区のはずだが、窓明かり一つない。
「君だーれ？」
草陰から小さな妖精が現れた。
パタパタと背中の羽で飛んでいる。
頭の中が真っ白になった。
「……ここはどこだ？」
「やれやれ、また異世界人が来ちゃったのかー。最近多いなぁ」
妖精は近くの村まで俺を案内してくれた。
そこには第一次世界大戦で行方不明になっていた兄がいた。
すっかり髭だらけの顔になっていたが、幸せそうな目をしている。
俺たちは思わぬ再会に抱き締め合った。