透明人間殺人事件

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透明人間が殺害された。彼の透明な血のついたナイフが落ちていたため、すぐに刺殺だとわかった。そのナイフはまるで水に濡れているだけのように見えた。
犯人は既に捕らえられていた。透明人間の横で、指に彼の血をつけたまま震えていたのだ。彼は、透明人間の血を飲めば透明になることができると信じ込んでいた。
パトカーに乗せられた犯人を、警部とその部下は後ろから見ていた。
「透明人間の血を飲めば透明になるだと?そんな噂話を信じて、人を殺すだなんて」
「でも少し気になります、本当かどうか」
「馬鹿馬鹿しい。確かめようとかするんじゃないぞ」
警部はそう言うとスタスタ歩き出した。ついていこうとした部下は、盛大にすっ転んだ。透明な血が足元に広がっていたことに気がつかなかったのだ。血の水たまりに浸かった彼は、思わずそれを飲んでしまった。
振り返った警部は見た。部下が泣きそうな顔をしながら、段々と透明になっていくのを…
ミステリー・推理
公開:21/03/26 23:51

ばお( 日本 )

ばおといいます!よろしくお願いします。

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