神様の掛け違い

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バーで知り合った男、どうやらヤケ酒のようだ。
「俺は神なんか信じちゃいねぇ。でも5年前の疫病は神の怒りを買った結果だ」
支離滅裂だが相槌を打っておいた。
「職場の全員が罹ったのに俺だけ陰性だったんだ。1つだけ思い当たる節があった」
男は飲み干す仕草をしたがグラスは虚しく氷だけだった。
「子供の頃に掛けてたんだよ。一生バリアを。お前もやっただろう?」
まさかの心当たりがあった。もしかしたら彼とは同郷かもしれない。
「一生バぁリア…」独特な節回しで呟いていた。
「そう!そうだ!何を間違ったか神はそのふざけた一生を汲み取りやがった」
俺にもそのバリアが保証されていのかると微笑み、酔いを自覚した。
マスターから補足で長年連れ添った奥さんと別れた事を教えてもらいヤケ酒を納得する。
「俺は神に永遠の愛を誓ったんだぜ。そこだろうよ…」
馬鹿げているが、そんな掛け違いあってもおかしくないくらいの世の中だ。
その他
公開:21/03/26 12:08
更新:21/06/07 09:06

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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