運命の

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人はどんな出来事にも意味があると考える。必然か偶然かを語るのが好きな生き物だ。だからこそ、犬のうんこを新品の革靴で踏んでしまった事にもきっと意味があるはずだ。俺は辺りを見渡した。誰もいない。運命の悪戯とやらはいつ発動するのだ。ーークソ!
「おっさん、うんこ踏んだ?」
「え」
振り向くと柴犬を連れた小学生男児が、革靴をしげしげと見つめていた。
「下手に水で洗えないよ」
「う、そうなんだよな」
柴犬が革靴に鼻を付けようとするのを必死に止めている男児が「良いとこあるよ」とにやりと笑った。引きずる様に歩く俺を見て、時々吹き出す。どうやら目当ての場所は商店街の中に有るらしい。
「ここだよ。ちょっと預かって」
犬のリードを持たされてしまった。
「うんこ? まさかマー君じゃないでしょうね」
「ち、違うよ」
小競り合いが聞こえて慌てて声をかけた。
「あっ、ごめんなさい」
明るい声の女性に運命を感じた。
その他
公開:21/03/25 23:24
一番くだらない必然 マー君 柴犬の名前なのか?

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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