良薬は口に甘し

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ある街に一風変わった病院が開院した。
「甘方医・佐藤大吉」と名乗るこの医師は、患者のあらゆる不調を何と菓子で治療するのである。
「ああ、ストレスですねえ。チョコレート出しときますから、一日数回摂って下さいね」
「これはひどい、忙しすぎてご自分のお時間が取れてないんですね。発酵バターマドレーヌ出しますんで、紅茶と一緒に食べるようにして下さい」
「一人暮らし9年?そろそろ故郷免疫が下がってくるんで、おはぎ食べるといいですよ」
そして隣にある調剤菓子局で菓子を処方してもらえるのだ。これがまた良く効くと、病院は瞬く間に大繁盛。
ところがある日、一人の女性を見るや医師はさっと蒼ざめた。
「残念ですが、これはもう手遅れです」
「先生そんな…毎晩眠れないし食欲もなくて…」
切々とした訴えに、医師は憐れむように答えた。
「2月14日までに来てくれてたらまだしも、今となってはもう草津の湯でも治らないねえ…」
その他
公開:21/03/25 13:51
更新:21/03/25 19:17
皆様、ご無沙汰しております 原稿もだいぶ片付いてきたので またお邪魔させて頂きます #112

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnote・TALES・公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・第2回 日本おいしい小説大賞 最終候補(小学館)
・第31回やまなし文学賞 佳作『雨を知るもの』
・創作大賞2025 入選 『栗と牡丹』
・SSアンソロジー『ベリショーズ』寄稿
・ホラーアンソロジー『ウタ・カタ』寄稿

【刊行】
・第31回やまなし文学賞受賞作品集(山梨日日新聞社)
・栗は月色、こがね色 和菓子処長月堂(朝日文庫)
 

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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