潔癖症の彼氏とつきあうのはとても大変だと、今更ながらわたしは思うのです

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17年間ずっと独り身の地味子なわたしに、ついに彼氏ができた。

カントの「純粋理性批判」を読むわたしの横顔が気に入ったというのがきっかけで告白されたのだった。

舞い上がってしまったわたしは、あれこれ妄想を膨らませた結果、翌日、彼のためにお弁当を作って持っていくことにした。もちろん、青春の定番である、「あーーん」の練習も念入りにした。食べやすい箸の差し出し方やその角度も、何度もシミュレーションした。

自慢するのはおこがましいのだが、こう見えてもわたしは料理の手際がいい。母親が働いているために、家事をするのがわたしの役目だったりするので慣れているのだ。

準備もバッチリ。昼休みの今、彼とわたしは校庭の片隅にあるベンチに座っている。さっそく三重の折を開け、事前訓練の成果を試すことにした。

「はい、あーーん!」

「あ、そういうの、僕はいいので。作り手のわからない食べ物ってこわいでしょ」
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公開:21/03/24 11:07
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