地獄の窯の蓋

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「地獄の窯の蓋」という植物がある。
シソ科キランソウ属の多年草で
春になると紫色の小さな花を咲かせる。

この植物を薬草として使うと
地獄の釜に蓋をし、病人を
この世に追い返すほどの効き目を
持つらしい。

私は早速、山へ取りに行った。
「地獄の窯の蓋~地獄の窯の蓋~」
小さな植物なので、なかなか見つからない。
念仏のように唱えて探しまわった。

「地獄の窯の蓋~地獄の・・・」

ふと疑問が浮かんだ。
死んだら天国か地獄に行くと言うけれど
何で地獄の窯の蓋なんだ?

天国の窯の蓋でも良いんじゃないの?
天国に行く人もいるだろうに。

地獄限定って、その定義は何なのだろう。
私は考えに考え一つの結論を導き出した。

昔の人はきっと、謙虚で真面目で
自分ごときが天国に行けるなんて
考えることがおこがましかったのだろう。

地獄の窯の蓋と命名した人は
閻魔様に天国行きって言われてるだろうな。
その他
公開:21/03/24 21:01

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