最後の唐揚げ - 謎解き 前編

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 しばらくその場を沈黙が支配する。
 彼らにとって、その時の一秒は、常時の一分にも等しかった。そしてその重苦しい空気を打ち破ったのはAだった。彼は「俺には分かった」と言って、彼の推理を披露し始めた。

 犯人はまず、お通しの小型のがんもどきを唐揚げの皿におく。この時付け合わせのレタスの影に置き、自分以外から見え辛くする。
 唐揚げとがんもどき、近くで見ると違いは明らかだ。しかし俺たちは既に酔っている。犯人は大胆にもそこにかけたんだろう。そして彼の試みは成功する。きっと、皆が出来るだけ唐揚げを見ないようしようとしている事も計算に入れたに違いない。
 そうして犯人は、大胆にも最後の唐揚げに手を出す。
 仕上げは頃合いを見計らってがんもどきを片付ける。皆が気がつくと唐揚げが無くなっている。しかし実際には、皆が認識した直後には既に唐揚げは残っていなかったんだ。

 それがAの推理だった。
ミステリー・推理
公開:21/03/24 20:52
最後の唐揚げ 同期との飲み会 遠慮の塊

Azuki Smith( 横浜 )

写真撮影が趣味で、英国文学をはじめとした外国文学が好きな会社員
旅が好きでヨーロッパとアジアを中心に多く国を旅している
また、イギリスに住んでいたこともあり、英国文学に多くの影響を受けている
喋れる言語は日本語 (ネイティブ) > 英語 (アカデミック) >>...>> ドイツ語 (何とか旅が出来るレベル)

投稿内容はその他(主に紀行文)、青春、ホラー、ごく稀に恋愛(でも悲しい物語)

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