ヤドカリ

0
2

浜辺で鳥に襲われているヤドカリを助けた。
酷く弱っているようなので家に連れ帰り、出来る限りの手当てもした。
私はヤドカリを飼うつもりはない。手当が済むと外へと逃がす。あとは好きなようにするだろう。
しかし翌日も、その翌日もヤドカリは我が家の前にいた。
「君、帰らなくていいの?」
『帰る前に一宿一飯の恩をお返ししたく思いまして』
気まぐれにヤドカリに話しかけると驚いた事に話し返された。
『実は私、キューピットの仕事をしておりましてそれで先日、「彼女を取られたと」あの鳥の御仁に襲われていたわけです』
成程。
『ヤドカリのヤは弓矢の矢。貴方様の好きな人の心、見事射止めてみせましょう』
ヤドカリは背負った貝殻から弓矢を取り出した。
「それじゃ、頼んでみようかな。私が好きなのは…」
後日、私に恋人が出来た。
ヤドカリは言った。
『ヤドカリのカリは狩人の狩。狙った獲物は必ず貴方の元に持ち帰りましょう』
公開:21/03/20 20:56

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容