お伽噺をしよう

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アサオがスマートフォンを耳に当てると、メグミは最初から泣いていた。泣きじゃくっていて、なぜ泣いているのかを聞き出すのに苦労した。まあ、よくあることだった。
それからしばらくの時間、アサオはメグミの愚痴やら、それにまつわるとりとめないことなどを聞いていた。
アサオのスマートフォンの警告サインが点滅を始めた。
「お伽噺をしようか?」
「うん。聞きたい」
「今日は、何の話にしようかなぁ」
 アサオはアプリの数百のリストから、アプリが選んだ今日の気分に推奨の話を一つタップした。
「むかしむかし、ある国に美しいお姫様がいました……」アプリはアサオの声でお伽噺を始めた。
 このアプリにはほかに、AI相づちモード や とにかく謝罪モード などがある。それらを一度タップすればあとはアサオの声で話し続けてくれる便利なアプリだ。
アサオはスマホをテーブルに置いてゲームのコントローラーを握り直した。
その他
公開:21/03/20 18:07

N(えぬ)( 横浜市 )

読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
ここに投稿する以外にも、自分のブログに同時掲載しているときがあります。

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