風の異星人

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その異星人は、台風とともにやってきた。強風が吹きすさぶ中でないと活動ができない特異体質ということだそうだ。
宇宙船が到着したのは、史上最強クラスの台風が通過しつある沖縄。
そこに錘を身にまとった首相が向かったものの、あまりの豪雨に話し合いになるわけもなく、異星人は激怒して帰っていた。
次はアメリカのハリケーンの最中に会談することにした。
雨がないからまだましだと思ったのだが、砂煙がものすごく、やはり大柄な大統領といえども話し合いにならず、異星人は再び激怒して帰っていった。
次こそ最後だ。3回目も怒らせたら地球はどうなるのか分からない。
万全の体制を組んだ上で、南極のブリザードを会談場所に設定した。そして見事に会談は成功した。
全世界は地球の危機を救った英雄に感謝した。マイクとスピーカーを付けられた、一羽のコウテイペンギンに。
SF
公開:21/03/20 16:22

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