ゴーストノート

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夜が程よく更けた頃。幽霊はお気に入りのパーカーを着込み、人のいない街を歩く。植え込みに捨てられていた流行りのスニーカーは、えらく履き心地が良かった。

自分の歩く音。蹴り飛ばした空き缶が転がる音。色とりどりのネオンが眩しく光る音。そして、夜を包む「静寂」という特別な音。
その1つ1つを、幽霊は耳で記録した。夜をただ過ごすのではなく、音で理解しようと思った。どうせ誰にも見えないのなら、とことん夜を追求しようと思った。誰も気に留めないような音でも、私の生きる環境を構成する大切なパーツだ。

今を生きる人の曲が、どこか遠くから聴こえる。その曲と、耳で記録した音を、頭の中で混ぜ合わせて再生する。そうすると、「夜を聴いている」感じがするのだ。ノリノリで街を歩くその足取りは軽い。
私は今日もまた、夜に溶け込んでいく。
その他
公開:21/03/21 17:16

ばお( 日本 )

ばおといいます!よろしくお願いします。

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