憂鬱な診察室

「測定終了です」測定室からロボットがのろのろと出てきた。診察室の椅子に座っていると医者がやってきた。医者は手元のデータを診て「各部位の電位、ヤング率、電磁率、熱膨張率も問題なし。それで？」ロボットは「仕事は生産部門コントロールです」「自己制御型だね」「はい、ラインの安定生産稼働がミッションです」「それで？」「トラブルは修復しますが複雑な場合には一旦停止します」「ほお、システム遮断機能を持っているんだ」「はい、トラブルにはシステム遮断が良策です」「それで？」「不意に遮断機能が発動します。なぜかシステムを止めたくなるんです。おかげで生産システムは大混乱。会社は完治するまで欠勤です。職場復帰するために何とか治してください」「うーん、気ままな遮断機能か」医者が唸っていると診察室の照明が消え、空調も止まり周囲の電子機器も全て止まった。医者ロボットも固くなって動かない。自己制御型ロボットは青くなった。