おにぎり

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中山間地の街道沿い。曲がりくねった県道の両脇には住宅や閉店した店舗、農家の古めかしいおっきな家が並んでいる。その中の、一区画に'女生徒のおにぎり'の看板を出してる一区画あり。
朝も早い、通学まえの時間に女子高生のカナと女子中学生の妹がブースを構えて、おにぎりを売っている。
「握りたてのおにぎりいかがですか〜」と鈴を転がすような声。
現場に向かう途中であろう常連さん達のトラックやらハイエースやらが店の前に停車して、中から男たちが買いに出てくる。
「カナちゃんたちのおにぎり美味しいよね」
男たちは異口同音にそう言う。
みな一様に彼女たちの売るおにぎりを買って、現場に向かって行く。すっかり売り切って腕時計を気にするカナ。
「今日も完売だね。」「うん」
カナはブースの裏にまわって、前足に飯粒をいっぱいくっつけた一匹の日本猿に向かって語りかける。
「おいしい、って。良かったね。小太郎」「ウキ」。
その他
公開:21/03/18 21:39

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