箱庭

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「…よし、できた!」

汗を拭い、出来上がった庭を眺める。
色とりどりの花が咲き、小さな溜池が陽の光できらきらしていた。
趣味の園芸を、毎日コツコツと続けてきた。仕事の疲れやイライラも、土や花をいじっていると、全部忘れられたから。
そうして出来上がったこの庭は、僕の理想郷。

「でも、これで終わりじゃないからな!この状態をキープできるように、もっとこまめに様子見なくちゃ!」

ウキウキと軽くなる足取りで、僕は水を取りに行った。






「…よし、できた!」
「お、やっとできたのかー?最近お前、ずっとそればっか構ってたもんな」
「苦労したんだよ。上手いこと花が咲かないし、水も濁るし…でも、まあ何とか形にはなったかな」

天使は硝子の箱を持ち上げ、棚に飾る。
硝子の箱の中にいるのは、小さな庭を前に満面の笑みの男。

「さて、次はどんな箱庭を作ろうかな」
その他
公開:21/03/18 15:06

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