うずまき
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生まれつきツムジがふたつあった赤ン坊の私を見て
「ふたつ!この子はロクな者にならないよ」と祖母は呪いの言葉を口にした。
私は気にしなかったが母は気にした。なんとかツムジをひとつにしようと涙ぐましい努力をしたが、奮闘虚しくツムジたちはどんどん離れていく。
あるときは左耳の上あたりを迷走。こめかみで旋回。気づけばうなじへと潜行。
それを見た母はいっそどちらかのツムジ追い出せばいいと思ったようで、小さめのツムジを執拗に攻撃し始めた。
ツムジは逃げて逃げて、頭から飛び降り肩に止まり、しばらく肩の産毛でクダを巻いた。やがて脇を擦り抜けヘソでたゆたい、膝のエクボに潜み、足の福毛にしがみつき損ね、とうとう私の体から追い出された。
これでやっと娘が普通にと母は泣いて喜んだ。
数年後の朝。季節外れの台風。気象衛星に映った渦巻を見て母が息をのむ。怒りに膨れあがった私のツムジが還ってきた。普通を蹴散らしに。
「ふたつ!この子はロクな者にならないよ」と祖母は呪いの言葉を口にした。
私は気にしなかったが母は気にした。なんとかツムジをひとつにしようと涙ぐましい努力をしたが、奮闘虚しくツムジたちはどんどん離れていく。
あるときは左耳の上あたりを迷走。こめかみで旋回。気づけばうなじへと潜行。
それを見た母はいっそどちらかのツムジ追い出せばいいと思ったようで、小さめのツムジを執拗に攻撃し始めた。
ツムジは逃げて逃げて、頭から飛び降り肩に止まり、しばらく肩の産毛でクダを巻いた。やがて脇を擦り抜けヘソでたゆたい、膝のエクボに潜み、足の福毛にしがみつき損ね、とうとう私の体から追い出された。
これでやっと娘が普通にと母は泣いて喜んだ。
数年後の朝。季節外れの台風。気象衛星に映った渦巻を見て母が息をのむ。怒りに膨れあがった私のツムジが還ってきた。普通を蹴散らしに。
ファンタジー
公開:21/03/18 22:38
ボケ防止にショートショートを作ります
第二回 「尾道てのひら怪談」で大賞と佳作いただきました。嬉!驚!という感じです。
よければサイトに公開されたので読んでやってください。
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