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会社帰り、本屋の反対側にひっそりと建つ嘘屋へと入る。
「今から23時までのアリバイを頼む」と注文すると店員は「かしこまりました」と答え、僕に完璧なアリバイを提供してくれた。
今日の僕は”会社で残業をしている”という事になっている。残業データも嘘屋に用意してもらった。
たとえ僕の浮気を疑う妻が探偵を雇い、僕を尾行しようも嘘屋がいる限り僕の嘘は絶対にバレることはない。
これで心置きなく浮気相手の所に行けるってものだ。

浮気相手との逢瀬を終え、自宅に戻ると深夜にもかかわらず警察がやってきた。
「貴方を殺人容疑逮捕します」
何の事だ?
「貴方の上司が会社で殺害されていたんですよ。あの時間、会社にいたのは貴方だけだ」
それは違う。僕はその時間、浮気相手と共にいた。
だが、僕のアリバイは嘘屋によって作られた完璧なもの。
いくら僕が否定しようもアリバイは崩れる事なく、僕は犯人として今も服役している。
公開:21/03/17 20:47

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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