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近所の中華料理屋に妙飯(時価)という珍妙な料理がある。
その正体は賞味期限が近い食材を適当に混ぜて炒めて作った料理。
賞味期限が近いから殆どの場合安い値段で食えるが、偶に高級食材を入れて来るものだから油断ならない。
そんな妙飯を普通の学生共はギャンブル感覚で注文する。
それを横目に俺は店主に「妙飯、安価で」と注文する。こう言えば高級食材を入れてこない。
炒飯ではない妙な味だが俺のような貧乏苦学生には救いの味だ。

「いつもそれ食べてるよね。美味しいの?」
同じ大学に通う女子に声をかけられた。
返答に困っていると女子は同じものを注文した。
いや、厳密では同じものではない。妙飯に同じものは存在しない。
そう説明すると、女子は俺の妙飯を口にする。そして俺に自身の妙飯を口にするよう勧めてきた。
そんな彼女の仕草にドキッとして…気付けば恋に落ちてきた…
店主め…妙飯を甘酸っぱく絶妙に仕上げやがって!
青春
公開:21/03/16 20:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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