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「お兄さん、ちょっと占っていかないか?今ならタダだよ」
道端の占い師に声を掛けられた。来世占い?前世占いの間違いじゃないのか?
「ウチは来世を占っているんだ。お兄さんの来世があまりにも良くないものだから、つい声をかけてしまったのさ」
ケンカ売っているのか?そんな胡散臭い話を信じると思うか?
「これでもか?」
占い師は目深に被ったローブをそっと外す。
その顔は俺と瓜二つだった。
「俺は来世のお前だ。前世の俺の行いがあまりにも悪いから来世の俺は最悪な人生を送っている。なぁ、今からでも遅くない。来世の俺を助けると思って善行を重ねてくれ」
俺に縋りつく俺を俺は振り払い逃げ出した。
そんな俺を俺が追って来る。俺は俺に追われる恐怖に耐えきれず、善行を重ねると誓った。
来世の俺の姿がふっと消えた。
だが俺が悪行を重ねると来世の俺は必ずまた現れる。
分かるさ。だってあのしつこさは間違いなく俺だったからな。
公開:21/03/16 20:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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