新装美術館

＊＊市立美術館は少ない来場者と高い維持コストで閉鎖決議がなされた。跡地は廃棄物処理場となる。学芸員らの処遇については、美術館長から何と美術館員で廃棄物処理場を運営すると申し出があった。市長と議会は館長の話を聴いた。
「美術館と廃棄物処理場では異分野で美術館員の運営は不可能でしょう」
「美術館は美術作品を調達し展示が済むと返します。購入作品は後に売却します。モノを外から入れて適宜処理します」
「美術作品と廃棄物とは別物です」
「作品もモノです。現代アートでは廃棄物のような作品も普通です」
「作品は高額です」
「廃棄物にはいいモノも全部ゴミとして燃やします。学芸員らが目利きをして高価なモノを選び出します。また廃棄物をモノとして市民に見てもらえます。選定して展示する、美術館業務です」
「なるほど。建物は？」
「改築は不要です。廃棄物処理場と美術館の外観はそっくりです」
そして議案は可決された。