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「あー、母さん。久しぶり。そろそろ来るころかなって思ってたんだ」
「元気にしとった?」
スマートフォンを耳に当てながら太一は家の縁側に出た。外は西日になって、夏の日差しがいくぶんか和らいだ気がするけれど、それでも暑い。うんざりするほど。
「うんん。元気だったよ。今年も帰れなくて、ごめん」
「元気ならいいよ。それならいいよ」
太一の母親は、こういう時に不満を漏らすことがない。彼にとっては、それが救いだが、何年も空いてしまうと、むしろたまには故郷の空気を吸いたい衝動に駆られる。
この期間だけだが向こうの世界との通信が出来るようになった。これが今どきの『お盆スタイル』だ。
むかしのことを思うと、画期的で素晴らしい。少し悲しみも遠のいて軽くなったのに、ふるさとは遠くなった。太一は、そんな気がしていた。
「元気にしとった?」
スマートフォンを耳に当てながら太一は家の縁側に出た。外は西日になって、夏の日差しがいくぶんか和らいだ気がするけれど、それでも暑い。うんざりするほど。
「うんん。元気だったよ。今年も帰れなくて、ごめん」
「元気ならいいよ。それならいいよ」
太一の母親は、こういう時に不満を漏らすことがない。彼にとっては、それが救いだが、何年も空いてしまうと、むしろたまには故郷の空気を吸いたい衝動に駆られる。
この期間だけだが向こうの世界との通信が出来るようになった。これが今どきの『お盆スタイル』だ。
むかしのことを思うと、画期的で素晴らしい。少し悲しみも遠のいて軽くなったのに、ふるさとは遠くなった。太一は、そんな気がしていた。
その他
公開:21/03/15 17:51
更新:21/03/15 17:52
更新:21/03/15 17:52
読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
ここに投稿する以外にも、自分のブログに同時掲載しているときがあります。
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