寝言
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男がいた。一代で会社を興した。毀誉褒貶の多い人物だったがカリスマ性があった。
男の言葉には力があった。ガムシャラに会社を引っ張った。部下たちは必死でついて行った。会社は大きく成長し、男は成功と美しい妻を手に入れた。
やがて男は周囲の人間にイラつくようになった。誰も彼も甘い。夢物語のようなことを平気で言う。俺のように現実を見ろ。
理想を語る部下に、美しさ以外の価値を求めたがる妻に、男は言った。
寝言は寝て言え。
ある日男は気がついた。男と対峙したとき、部下も、妻も、目を閉じていることに。目を閉じたまま操り人形のように動き、台詞のように言葉を発することに。誰もがみな寝ていることに。
寝言は寝て言え。
男の言葉には力があった。皆を縛る呪文のように。
男はその長い一生を寝言を聞いて終えた。
男の言葉には力があった。ガムシャラに会社を引っ張った。部下たちは必死でついて行った。会社は大きく成長し、男は成功と美しい妻を手に入れた。
やがて男は周囲の人間にイラつくようになった。誰も彼も甘い。夢物語のようなことを平気で言う。俺のように現実を見ろ。
理想を語る部下に、美しさ以外の価値を求めたがる妻に、男は言った。
寝言は寝て言え。
ある日男は気がついた。男と対峙したとき、部下も、妻も、目を閉じていることに。目を閉じたまま操り人形のように動き、台詞のように言葉を発することに。誰もがみな寝ていることに。
寝言は寝て言え。
男の言葉には力があった。皆を縛る呪文のように。
男はその長い一生を寝言を聞いて終えた。
その他
公開:21/03/15 00:23
更新:21/03/15 00:26
更新:21/03/15 00:26
ボケ防止にショートショートを作ります
第二回 「尾道てのひら怪談」で大賞と佳作いただきました。嬉!驚!という感じです。
よければサイトに公開されたので読んでやってください。
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