馬鹿野郎カバン

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広告営業という職業柄、日夜ストレスを抱える私は、顧客との面会後にカバンの中めがけて「馬鹿野郎!」と叫ぶ鬱憤晴らしを編み出し、平常心とある程度の業績を保っている。

その日も午前の面会後にひと鬱憤晴らし午後一番、得意先へと向かった。

先方は以前から苦手意識のあるA氏。
彼は飄々としてつかみどころがなく、何とも厄介な存在だ。

さて、どう話を進めていこう…
と、気を取られ緩んだ私の手元からカバンが滑り落ちた。

その瞬間、今まで吐き出した数多の「馬鹿野郎」が爆音となって周囲に響き渡る。

ただ呆然と立ち尽くす私。

その時、

「ほう、筋金入りの馬鹿野郎ですな。ここはひとつ私の『くそ野郎カバン』と手合わせ願いたい…」

そう言うなりA氏は自身のカバンをひっくり返した―



後に「くそ馬鹿英傑」と称される男達の意地とプライド、そして双方の社運すらも超越した戦いの火蓋が今、切って落とされる…
ファンタジー
公開:21/03/13 19:35

義母ちゃん( 日本 )

Cラン地方大学生(21)
好きな言葉は「休日」です
1週間前くらいから本を読むことにハマってます

宜しくお願い致します。

Twitter: @guraguriraaaaan
Instagram: official_kusanagi

 

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