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僕はかつてイギリスに住んでいたが、日本に帰る直前、名残惜しんで三日続けてロンドンのナショナルギャラリーに通った事があった。
その初日、僕はターナーの絵の前で赤いワンピースを着た女性に出会った。その装いは彼女に良く似合っており、見る人に清楚な印象を与えていた。
翌日、またターナーの絵の前に行くと、あの女性が前日と同じ服装でそこに立っていた。僕は少し戸惑いながらも、絵を見ようと彼女の横に立った。すると彼女が「あら、あなた昨日もこの絵を見ていらしたわね?」と尋ねて来た。僕は「えぇ、もう当分この絵が見れなくなるので記憶に焼きつけようと思いまして」と返答した。すると彼女は微笑みながら「そう残念ね」と言った。
そして僕が数秒絵に目を写し、またその女性の方を向くと彼女はその場から消えていた。
翌日も、そしてその翌年もそこへ行ったが、あの日以来、僕はあの赤いワンピースの女性に一度も会っていない。
その初日、僕はターナーの絵の前で赤いワンピースを着た女性に出会った。その装いは彼女に良く似合っており、見る人に清楚な印象を与えていた。
翌日、またターナーの絵の前に行くと、あの女性が前日と同じ服装でそこに立っていた。僕は少し戸惑いながらも、絵を見ようと彼女の横に立った。すると彼女が「あら、あなた昨日もこの絵を見ていらしたわね?」と尋ねて来た。僕は「えぇ、もう当分この絵が見れなくなるので記憶に焼きつけようと思いまして」と返答した。すると彼女は微笑みながら「そう残念ね」と言った。
そして僕が数秒絵に目を写し、またその女性の方を向くと彼女はその場から消えていた。
翌日も、そしてその翌年もそこへ行ったが、あの日以来、僕はあの赤いワンピースの女性に一度も会っていない。
ホラー
公開:21/01/05 19:00
#ナショナルギャラリー
#ロンドン
#ターナー
#赤いワンピース
写真撮影が趣味で、英国文学をはじめとした外国文学が好きな会社員
旅が好きでヨーロッパとアジアを中心に多く国を旅している
また、イギリスに住んでいたこともあり、英国文学に多くの影響を受けている
喋れる言語は日本語 (ネイティブ) > 英語 (アカデミック) >>...>> ドイツ語 (何とか旅が出来るレベル)
投稿内容はその他(主に紀行文)、青春、ホラー、ごく稀に恋愛(でも悲しい物語)
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