もどってくるもの

捨てても捨てても、気が付けば手元に戻ってくる。
そんな怖い話を聞いたことはないだろうか。
怖い話の定番であり、その場合戻ってくるものは、大抵が怨念の込められた人形やぬいぐるみだ。
なぜこんな話を振るのか。その理由はたった一つ。

実は今、私もそんなものを持っているからだ。

それは人形ではない。けれど、捨てても捨てても、気が付けば私の元に戻ってきている。
どんなに沢山捨てても、捨てた分だけ、いや、下手をすれば捨てた以上のものが戻ってくるのだ。
そう、コレの恐ろしいところは、「一つ」や「二つ」で数えられないところだ。そんな単位では計れないほど、沢山沢山私は持ってしまっている。戻って来ないよう必死になっても、それは私を嘲笑うかのように、いつもヌルリと戻ってくるのだ。



「……またリバウンドしてる……」
体重計の上で、呆然とする私。
以前より多く動く体重計の針。
ああ、なんてホラーなんだ…。