18
10
首都高を疾走するセンチュリーの後部座席。スモークのかかった車窓から夜景を見やる。鈍色の街に燦々と燃える篝火のようなオレンジが一筋。見上げるも宵闇に星は見えない。
私は敗北を知らない。生まれてからずっと。だ。
願えば叶った。全てが手に入った。
父は言った。
「お前は選ばれた人間だ」
母は言った。
「あなたは人の上に立ちなさい」
願えば、人が、金が、時代が、国が動く。思いのままに。
「全部お前のせいだ!」
車を降りたところで、暴漢が銃を私に向けた。何か叫ぶと、唾を飛ばし、顔を赤くして引き金を引いた。しかし私は動じない。
ここで私は死なない。私が死を願っていないのだから。
「総理こちらへ」
護衛の刑事に促される。
背中越しに銃声が鳴る。刑事が暴漢を射殺したのだろう。見ずともわかった。私が、そう願ったのだから。
今日もあいも変わらず、世界は私のために回っている。
私は敗北を知らない。生まれてからずっと。だ。
願えば叶った。全てが手に入った。
父は言った。
「お前は選ばれた人間だ」
母は言った。
「あなたは人の上に立ちなさい」
願えば、人が、金が、時代が、国が動く。思いのままに。
「全部お前のせいだ!」
車を降りたところで、暴漢が銃を私に向けた。何か叫ぶと、唾を飛ばし、顔を赤くして引き金を引いた。しかし私は動じない。
ここで私は死なない。私が死を願っていないのだから。
「総理こちらへ」
護衛の刑事に促される。
背中越しに銃声が鳴る。刑事が暴漢を射殺したのだろう。見ずともわかった。私が、そう願ったのだから。
今日もあいも変わらず、世界は私のために回っている。
その他
公開:21/01/05 11:55
更新:21/01/05 11:59
更新:21/01/05 11:59
いろは唄シリーズ②
是生滅法
わかよたれそつねならむ
我らが生きる世で
誰が変わらずに
生きられるだろうか?
空津 歩です。
ずいぶんお留守にしてました。
ひさびさに描いていきたいです!
Twitterアカウント(告知&問い合わせ)
https://twitter.com/Karatsu_a
ログインするとコメントを投稿できます