ぼくはゴジラ

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いつもバスの窓を眺めながら夢想するのは「あぁ、ゴジラが現れてくれないかな」と決まっている。
車窓から見える幾多のコンクリートの柱たちをなぎ倒し、乗客に向けて作られた広告を一掃して欲しい。外を見て慌てふためく者、この期に及んでスマホのカメラを向ける者、彼らを嘲笑するぼく、皆が乗った車両諸共新宿の上空に投げ飛ばして欲しい。
そうすれば、勉強に追われる現状、彼女のいない現実、この世の混迷から逃れられる。

いっそぼくがゴジラになろうか。

彼は古代生息した爬虫類の一種が放射線を浴びて変貌したらしい。ぼくが世界から受ける負のエネルギーは、間違いなくこれに匹敵する。いや、もしかすると凌駕するかもしれない。
負のエネルギーをパワーに変えれば、森羅万象ぼくにひれ伏す。間違いない。
ゴジラに地球は壊せまい。
ぼくは宇宙をぶっ壊す。
その他
公開:21/01/05 22:30

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