時間のつぼみ

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「いつかきっと、君の才能は花開くよ」
そう言われて何年経つだろう…私は人より器用に物事をこなす。
飲み込みも早いし、不得意な分野はない。だが得意な分野もない。私は器用貧乏という奴だ。
何でも器用にこなせるから思いつくまま手を付けた。しかし、どれも花開く事なく蕾の状態で止まってしまう。
私の花開く才能って何だろう?このままじゃ一生器用貧乏で終わってしまう。
ならばと蕾と蕾を掛け合わせた。無理矢理にでも花を咲かせてやる!…と、思っていたけど無理だった。蕾は蕾のまま。花開く事なく新たな蕾を増やした。
時間をかければかける程、蕾の数が増えていく…どうしたらいいんだろう…
悩む私に祖父が教えてくれた。
「お前さんは花じゃない。儂と同じ木じゃ。木ってのはな、蕾を沢山つけるが中々咲かない。だが花咲く瞬間は一瞬じゃぞ」
そう言われ想像する。一気に開花する才能。
それはそれでちょっとヤダ…才能は少しでいい。
公開:21/01/03 19:26

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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