痛み診断

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「えぇ。これは痛みですね。よく頑張りましたね。」
そう言われた方は、ほろほろと涙をこぼしていた。

その世界では、痛み診断が一般化していた。
“痛みの認定”がなければ、それは苦しいことではないとされる。
痛みとして認定されなかったと知られれば、誰からも励ましも癒しも向けてはもらえない。

『自身の痛みが診断によって認定されなかったら?』
いつからか、皆が自身の痛みを見せまいとするようになった。
どちらの認定もされない代わりに、痛みをないものとした。
痛み診断が廃止されても、それは変わることはなかった。


そうしてその世界から
痛みがなくなったという
だけれど誰一人として
愛を感じることはなかった。
その他
公開:21/01/05 01:15
更新:21/01/05 01:17

真月。

ご覧いただき ありがとうございます。
よろしかったら読んでみてください。
作品の絵も自身で描いております。

コメントや☆など とてもありがたく思っております。ありがとうございます。
のほんとしたお話や癒しとなっていただけるようなお話を描けたらと思っております。

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