コープスファインダー

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ずっと片想いしていた知り合いの娘さんが珍しく自治会の集会に参加していて、彼女の父親がとうとう娘の結婚が決まったことを報告したので、せめて祝福を伝えたくて彼女が一人になるのを待った。
廊下で彼女を待ち伏せる。両手の塞がったその姿を見ると堪らなくなり使われていない部屋へ彼女を押しやって物も言わず想いを遂げた。
自分の行動に驚きつつどこか納得し、落ち着いてみると乱れた彼女が侮蔑の眼差しで僕を見上げており、僕の初恋が終わりを迎えたのがわかった。
彼女は無言で後れ毛をまとめ身支度を整える。床に投げ出された白い足が立ち上がる様を見て僕は何かが歩きだす音を聞いた。
部屋を出ていく彼女の手首を掴む。そこは脈だった。彼女は振り返り目を逸らす。娘を探す声が上がったので解放してやる。
でもこれで終わりじゃない。この蔓は僕の恋の死骸の上から目を出したのだから。たぶん僕はこれから数え切れないほどあの女を抱くだろう。
その他
公開:21/01/04 17:38

晴れ時々雨

普段Twitterにて140字小説を中心に書いています。ジャンルはないです。

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