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わかり合うのはほとほと困難、いつの世もすれ違う男と女。流行病で外出禁止、四六時中見たくもない顔を揃えて、夫婦喧嘩の声が聞こえてきます。

「帰ったら手ェ洗いなさいって何度言やぁわかるんだい?」
「グチグチ五月蝿いねぇ。これだから女ってな嫌だよ。」
「時代錯誤も甚だしい。豪快な男が聞いてあきれるよ。大雑把なだけじゃないかい。」
「流行病なんて大したこたぁねぇ、病は気からでい。」
「病の前にそのどうしようもない頭をなんとかしなっ!」
火に油、で喧嘩は白熱。かつて愛した二人とは思えぬ口汚い諍いがしばらく続きました。罵詈雑言に耐え切れなくなった妻がついに泣き出して言います。

「本当はお前さんが心配なだけなんだよ。」
「俺も少し言いすぎた。」
「豪快な男なんて時代遅れだよ。優しい男が一番さね。」

妻が言うと、頭を掻きながら旦那が一言。

「お前が『手荒い』が重要だっていったんじゃねえか。」
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公開:21/01/04 14:54
更新:21/01/04 14:57
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伽藍堂 無一文( 寄席 )

伽藍堂無一文(がらんどうむいちもん)
しがない噺屋風情が芸の肥やしにこちらで厄介になっております。
兄さん、姐さんがた、どうぞお見知り置きを。

たまに拝読、感想を残しやすが、
江戸弁忘れた時ゃ内緒にしといてくだせぇ。

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