玉ちゃん

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ソファベッドに寝っ転がってキッチンの方を見ると、床に円錐形の小さなものが転がっていた。…玉ねぎのヘタだ!昨日料理した時、落としちゃったかな。私は玉ねぎを拾いに起き上がる。手をかけると思いのほか固い。ん?根っこでも生えたかな。うー、うーん!ポンッ!ワインのコルクが抜けたような音とともに、小さな鳥が現われた。ピー。ピー。少し芽のでかけた玉ねぎのヘタの頭の下には、つぶらな瞳。全身は地味な茶色だけど、真っ白な胸には、小さな黒い水玉模様があった。
- やぁ、玉ちゃん
咄嗟にそう呼んでいた。ピーピー。ピーピー。ん?何か欲しいのかい?玉ちゃんの視線の先には、エコバックが置きっぱなしになっていた。玉ちゃんはパタパタとバッグの方へと飛んで、ごろんと横になると、自分の頭のたまねぎに、よいしょよいしょと体を押し込めて、エコバックみたいに小さくなった。そっか、お散歩ね。私は玉ねぎのヘタをポケットに入れて家を出た。
公開:21/01/02 01:09
更新:21/01/02 01:25

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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