時間のつぼみ

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母からとても美しい押し花の栞を貰った。
「これ何て名前の花?咲いたらどうなるの?」
つぼみの押し花。その栞を受け取った私は目を輝かせて母に聞いた。
「私もね、この花の名前を知らないの。咲いたものを見た事ないの」
母は困った顔で言った。
聞けば曾祖母は咲いているこの花を探しに世界中を飛び回っていたらしい。女冒険家だったんだって。
祖母はこの花を調べる為、植物学者になったらしい。そう言えば祖母からはいつもいい花の香りがしていたなぁ…
母はこの美しい花が咲いた姿をいくつも想像して、それを描いた。花の絵を描く画家として今も活躍している。
この栞を手にすると花にまつわる仕事で成功を収められるらしい。虜の栞・時間のつぼみと呼んでいる。
それを手に私はとりあえず本を読み始めた。栞なんだからこうするのが正解でしょ?
今は本を読む事が好きな私は、この栞が私をどんな世界に連れて行ってくれるか楽しみにしている。
公開:21/01/01 20:41

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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