良く当たる占い師

彼女の不幸話が続く。
犬の糞を踏んずけたとか、自分が悪いわけではないのに上司から怒られたとか、何回ガチャを回してもお気に入りのキャラが引けないとか、そんなレベルだ。
そんなに気になるならということで、良く当たることで有名な占い師のところに彼女を連れて行った。
ところが、これが大失敗だった。占い師は身もふたもない言い方で、「全ては貴方の自業自得で、心持ちの問題だ」と言い放ったのだ。
彼女のイライラは頂点に達し、占い師に罵詈雑言を浴びせかけると、ひとりで帰ってしまった。
ぼくは占い師に料金を払いながら、不満を述べた。
「よく当たると聞いていたのに、がっかりだったよ」」
それを聞いた占い師は驚いた顔をした。
「よく当たるなど、言われたことがありません」
ぼくは首をかしげた。
「私はよく当たる占い師ではなく、よく当たられる占い師です。これで彼女もすっきりしたことでしょう。それが私の仕事ですから」