本当に欲しいのは

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僕はお金持ちだ。欲しいものは何でもすぐに手に入れられる。宝石も、ブランド品も、望めばなんだって。好きなアーティストのライブチケットや、限定品だって手に入るんだ。僕に手に入らないものなんてない。
なのに、それなのに。
「どうして君は僕のものにならないんだ?」
彼女は、決して僕からの贈り物を受け取らない。輝く宝石も、ブランド品も、彼女が好きなはずのアーティストのライブチケットも。代わりに彼女は、いつも冷めたような目を向ける。
「それがわからないなら、一生貴方からは受け取れない」
いつも、そんなことを言われるばかりだ。
「何でだよ。こんなに尽くしてるのに、何で」
嫌だ、そんなこと言わないでくれよ。だって僕は、
「君に物を与えることしかできないのに」
それしか、君に好意を伝える方法を、知らないのに。
「じゃあ教えてあげる」
「え?」
「まずはちゃんと口で伝えて?」

好きだって。
話はそれからよ。
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公開:21/01/03 12:04

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