タマゴのカラッポ

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幼稚園の頃、私はお花屋さんになりたかった。
それを両親に話すと「じゃ、これにその夢を描くといい」と真っ白な卵を渡された。
「それはタマゴのカラッポと言って今は中に何も入っていないけど、将来夢が叶うと孵化する不思議な卵なんだ。夢を叶えたいのなら、定期的に夢を描くといい」
私は卵を受け取ると早速お花に囲まれる私の絵を描いた。
小学生になるとパティシエに憧れた。卵にパティシエになった私の絵を描いた。
中学に上がると漫画家に憧れた。卵に漫画を描く私の絵を描いた。
高校に入ると、大学に入ると、社会に出ると…次々と変わる夢を卵に描いていく。
夢が現実的なものに変わる度に卵は大きくなっていく。
そしてついに夢の詰まった卵が孵化の時を迎えた。

素敵なお嫁さんになりたい!

その夢が叶った時、卵から生まれたのはダチョウだった。
私の夢が大空に羽ばたくものではなく、地上をせわしなく走るものになった証拠だ。
ファンタジー
公開:21/01/02 20:02
更新:21/01/03 13:41

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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