ドリームドーム

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元日、路地裏で古民家を改修した、雑貨店が営業していたので入ってみた。
店内は静まり返り他に客もいない。店主は後頭部が異様に大きな和服の老人で、妖怪ぬらりひょんにそっくりだ。
ショーケースに飾ってあるスノードームを見てみると、定番の雪が降っている景色はほとんどなく、華やかなお花畑や真っ暗なお墓、中には景色のない透明なものもあった。
不思議に思い首を傾げていると、不意に店主が話しかけてきた。
「それは『ドリームドーム』と呼ぶ。楽しい夢に怖い夢、さまざまな人たちが見た夢を閉じ込めている。夢を見ていない場合は透明なんじゃ」
「どうやって夢を集めてくるんですか」
「良い質問じゃ。この店では、貘を飼っていて、夢を売ってくれる人を募り、睡眠中に見た夢を貘が吸い上げ、この硝子の球体に戻したものがドリームドームとなる。
もしよければ、貴方の初夢を閉じ込めた、オリジナルのドリームドームを作って差し上げよう」
その他
公開:21/01/02 07:03
元日 古民家 雑貨店 妖怪 ぬらりひょん スノードーム 睡眠 初夢

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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