遭難者

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遭難した男は砂漠の村を見つけた
「すみません、食事を恵んでくれませんか」
すると、中から老人が出てくる。
「分かりました。しかし、食材がない。どうしても良いのならあなたの縁を使いたいのだが」
縁?何を言っているんだ?
男はそう思ったが頭を働かせる力ももうない
「なんでもいい。早く食事を恵んでください」
男がそう言うと老人は頷き、鎌のようなもので男の頭上を切る。すると、糸状のものがパラパラと落ちる
男はもう気を持たせるだけで精一杯だった
十分後、蕎麦の様な物が男に出される。男はそれを貪り食った
口に入れた瞬間、男は体験したことのない快感を感じた。
男が食べたのは、今まで彼が作った縁そのもの。それは彼の人生といえた

その快感から彼は昇天した

「苦しみは与えずに死を与える。これ程人道的な仕事は無かろう」
死神である老人は消え、家があった村も消えた
砂漠にはただ一人遭難した男が力尽きていた
その他
公開:20/12/31 21:33

ひややっこ( 東京 )

読者と漫画が好きな男です

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