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あるところに男ありけり。
その者、親、親戚と言った縁のある者が一切ない、孤独であった。
それ故に男は縁に飢えていた。
ある時、男は街で縁長コードと言う商品を手に入れた。
その商品は縁と縁を繋ぐ摩訶不思議なコードらしい。
だが、ここで男に問題が生じた。
男はこの縁長コードの使い方を店主に聞き忘れていたのである。
仕方が無いので男は勘でやってみる事にした。
まず男は手始めに隣の夫婦と縁を結ぶ事にした。
「私と縁を結んでください」
「嫌です。私の娘は嫁入り前なのよ。どこの馬の骨とも分からない方と親密にしている事が相手方にバレたら破談になっちゃうじゃないの」
男はそれを聞き、我を忘れた。
手に持っていた縁長コードで夫婦の首をキュッと絞めてしまったのである。
こうして男はまた孤立無縁になってしまった。

後日、警察が家まで聞き取りに来たが男は隣人と縁が繋がっていなかったのでバレなかったそうである。
公開:20/12/31 21:13

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