カイト

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凧揚げは正月のハイライトだった。

父さんと母さんに連れられて公園へ。悪戦苦闘、冷たい風よ吹け。

凧糸で結ばれたビニールや和紙が、ただ気ままに空を漂うだけのことだ。なぜ、あんなにも心、躍らされたんだろう。

人はないものねだり。自分にはない何かに憧れる。幼ければ、なおさら。

凧は、憧れの象徴だったのかもしれない。

どんなに歳を重ねても、人は心の中で凧を揚げ続ける。ある時は無風で鳴かず飛ばず。ある時はつむじ風に翻弄され、あっちに行ったりこっちに来たり。

それでも、止めはしない。握りしめた糸を通じ、憧れと自分は確かにつながってるんだと信じて。

また、無数の憧れが空に舞う季節がやって来る。

それぞれの憧れに、人は何を託すのか。

こんな時代。僕は感謝を託す。

ありがとう。

いつまでも、そう素直に伝えられる自分でありたいと願いながら。
その他
公開:20/12/31 20:37

ふみなか( 東京 )

40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。

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